転職や就職活動に不可欠な「履歴書」と「職務経歴書」。いざ書こうとすると、「何から手をつければ…」「どうすれば魅力が伝わるの?」と手が止まってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、書類作成が初めての方でも、採用担当者の目に留まり「この人に会ってみたい!」と思わせる履歴書・職務経歴書の書き方を、準備から提出まで徹底的に解説します。
この記事を読めば、自信を持ってあなたのキャリアの第一歩を踏み出せるはずです。
第1章:準備はOK?作成前に知っておきたい2つのこと
優れた書類は、書き始める前の「準備」で差がつきます。まずは基本となる2つのポイントをしっかり押さえましょう。
1. 履歴書と職務経歴書、目的の違いを徹底理解!
「どちらも同じようなもの?」と思われがちですが、この2つの書類には明確な役割の違いがあります。違いを理解すれば、書くべき内容が自然と見えてきます。
- 履歴書 = あなたの「公式プロフィール」
- 目的:氏名、連絡先、学歴、資格といった基本情報を、正確かつ簡潔に伝えるための公的な書類です。
- **ポイント:**ミスなく丁寧に書き上げ、「誠実さ」や「信頼性」を伝えることが重要です。
- 職務経歴書 = あなたの「仕事のプレゼン資料」
- 目的:これまでの経験や実績、スキルを具体的に示し、「自分が入社したらいかに貢献できるか」をアピールするための戦略的な書類です。
- ポイント:「見やすさ」と「具体性」を意識し、あなたの強みを最大限に売り込みます。

2. すべての基本!「自己分析」でアピール材料を掘り起こそう
魅力的な書類は、自分を深く知ることから始まります。いきなり書き始めるのではなく、まずはあなたの「強み」や「アピールポイント」を整理しましょう。
- キャリアの棚卸し: これまでの経験(正社員、契約社員、アルバイト、インターンなど)で、どんな業務を担当したか書き出す。
- 成功体験の深掘り: 「売上が上がった」「業務を効率化できた」「お客様に喜ばれた」などの経験について、「なぜ成功したのか?」「何を工夫したのか?」を具体的に掘り下げます。
- スキルの言語化: PCスキル(Word, Excel, PowerPointなど)、語学力、専門知識などをリストアップします。「Excelが得意」ではなく、「VLOOKUP関数やピボットテーブルを使い、データ集計・分析ができます」のように、具体的に表現するのがコツです。
第2章:【履歴書編】基本情報を正確に伝える技術
履歴書は、あなたの第一印象を決める大切な書類です。丁寧さと正確さを心がけましょう。
フォーマット選びのコツ
- 職歴が少ない・第二新卒の方: 学歴・自己PR欄が大きいタイプ
- 転職回数が多い・アピールしたい職歴がある方: 職歴欄が広いタイプ
- デザイン: 奇をてらわず、シンプルで見やすいものがベストです。
押さえておきたい!必須項目の書き方ルール
- 日付: 提出日(郵送なら投函日、メールなら送信日)を記入。
- 年号: 全体で西暦か和暦に統一します。統一感は、細部への配慮ができる印象を与えます。
- 氏名・住所: 楷書で丁寧に。ふりがなも忘れずに。住所は都道府県から、建物名や部屋番号まで正確に記載します。
- 連絡先: 日中連絡がつきやすい電話番号と、ビジネスシーンにふさわしいメールアドレスを記載しましょう。(例:
name.surname@email.com
) - 学歴・職歴: 学校名や会社名は「(株)」などと略さず、「株式会社〇〇」と正式名称で書くのがビジネスマナーです。
- 写真: 3ヶ月以内に撮影した、清潔感のある証明写真を使用します。スピード写真でも問題ありませんが、写真館で撮影すると、より熱意が伝わり好印象です。
手書き vs パソコン作成、結局どっち?
現在はパソコンでの作成が主流です。修正が容易で、採用担当者も読みやすいというメリットがあります。ただし、伝統を重んじる企業や、手書きの文字から人柄を見たいと考える一部の接客業などでは、手書きが好まれるケースもあります。迷ったら、企業の文化に合わせて選択しましょう。
第3章:【職務経歴書編】「会ってみたい!」と思わせる最強のアピール術
職務経歴書は、書類選考の要です。ここであなたの実務能力とポテンシャルを最大限にアピールしましょう。
1. 見やすさが命!採用担当者が読みやすい構成とは?
内容は時系列に沿って書く「編年体形式」が一般的です。以下の構成を意識しましょう。
- 職務要約: 200〜300字程度で、これまでのキャリアの概要をまとめる。
- 職務経歴: 会社ごとに、在籍期間、事業内容、担当業務、実績などを記載する。
- 活かせる経験・知識・スキル: PCスキルや語学力、専門知識などを具体的に記載する。
- 自己PR: 経験から得た強みや、入社後の貢献意欲をアピールする。
2. 「職務要約」で心を掴む!3行で伝えるキャリアのハイライト
採用担当者は多忙です。最初の数行で興味を引けなければ、最後まで読んでもらえない可能性もあります。これまでのキャリアで最もアピールしたい点を簡潔にまとめましょう。
【例文:営業職】
大学卒業後、株式会社〇〇にて法人向けITソリューションの新規開拓営業に5年間従事。顧客の課題解決を第一に考えた提案スタイルで、入社3年目には年間売上目標を150%達成し、社長賞を受賞。リーダーとして2名の後輩指導も経験しました。今後は、より裁量権の大きい環境で、自身の営業力とマネジメント経験を活かしたいと考えております。
3. 差がつく「職務経歴」の作り方:魔法の言葉「数字」を使おう!
職務経歴は、単なる業務内容の羅列ではありません。「あなたがどんな成果を出したか」を具体的に示すことが何よりも重要です。
- NG例 :「営業として頑張りました。」
- → 何をどう頑張ったのか伝わりません。
- OK例:「〇〇業界の新規顧客開拓を担当し、前年比120%の売上を達成しました。」
- → 具体的な数字を入れることで、実績の説得力が格段にアップします。
【職種別】数字でアピールするポイント
- 営業職: 売上高、目標達成率、契約件数、顧客数、順位など
- 事務職: 業務改善によるコスト削減額(〇%)、時間短縮(〇時間/月)など
- 販売職: 店舗売上への貢献度、顧客単価、リピート率など
- ITエンジニア: 開発したシステムの規模、処理速度の改善率、バグの削減数など
**箇条書き(ブレットポイント)**を使い、担当業務と実績をセットで記載すると、さらに見やすくなります。
【記載例】
■20XX年4月~現在 株式会社〇〇 営業部
事業内容:法人向けクラウドサービスの開発・販売
資本金:〇〇円 / 従業員数:〇〇名
【担当業務】
- 首都圏エリアの中小企業を対象とした新規開拓営業
- 既存顧客へのアップセル・クロスセルの提案
- 営業資料、提案書の作成
【実績】
- 20XX年度:新規契約件数〇〇件(同期トップ)、売上目標120%達成
- 〇〇の提案手法により、チーム全体の月間平均アポイント獲得数を10%向上
第4章:【仕上げ編】志望動機・自己PRで熱意と個性を伝える
職務経歴で「できること」を示したら、志望動機と自己PRで「やりたいこと」と「人柄」を伝え、応募先企業とのマッチングをアピールします。
1. 使い回しはNG!企業ごとにカスタマイズする志望動機の作り方
「どの企業にも当てはまる志望動機」は、誰の心にも響きません。徹底した企業研究が、熱意を伝えるカギです。
【3つのステップで作成】
- なぜこの業界・職種?: あなたがその仕事に興味を持った理由やきっかけを明確にする。
- なぜこの会社?: その企業のどこに魅力を感じたのか(事業内容、企業理念、製品・サービス、将来性など)を具体的に語る。企業のウェブサイトだけでなく、ニュースリリースや社長のインタビュー記事なども参考にしましょう。
- どう貢献できる?: あなたの経験やスキルが、その企業でどのように活かせるのかを論理的に結びつけます。
2. 自分だけのストーリーを語る「自己PR」
自己PRでは、あなたの強みを裏付ける具体的なエピソードを盛り込みましょう。「STARメソッド」というフレームワークを使うと、説得力のあるストーリーを組み立てやすくなります。
- S (Situation): どのような状況で
- T (Task): どのような課題・目標があり
- A (Action): あなたがどう考え、どう行動し
- R (Result): 結果としてどうなったか
【自己PR例文:STARメソッド活用】
私の強みは「課題発見力とそれを解決に導く実行力」です。(S)前職の店舗では、若年層の来店客数が伸び悩んでいるという課題がありました。(T)店長と相談し、SNSを活用した情報発信の強化を目標に掲げました。(A)そこで、競合店の調査・分析を行い、Instagramでのキャンペーンやインフルエンサーとの協力を企画・実行しました。(R)結果、3ヶ月でフォロワー数を2倍に増やし、20代の来店客数を前年同月比で30%増加させることに成功しました。この経験で培った課題解決能力を活かし、貴社のマーケティング部門でも貢献できると確信しております。
第5章:提出前に最終チェック!うっかりミスを防ぐ完璧リスト
書類が完成したら、提出前に必ず最終確認を行いましょう。一つのミスが、あなたの評価を大きく下げてしまうこともあります。
【提出前チェックリスト】
- [ ] 誤字脱字はないか?(声に出して読むと気づきやすい)
- [ ] 日付や年号は正しく、統一されているか?
- [ ] 会社名は正式名称で書かれているか?
- [ ] 連絡先に間違いはないか?
- [ ] 志望動機は、応募企業向けにカスタマイズされているか?
- [ ] 空欄はないか?
- [ ] 第三者に見てもらったか?(可能であれば、家族や友人、転職エージェントに読んでもらうと客観的な意見がもらえます)
応募書類の提出マナー
- メールの場合:
- 件名: 「【氏名】〇〇職応募の件」など、一目で内容がわかるように。
- ファイル形式: 誰のPCでもレイアウトが崩れないPDF形式が基本です。
- ファイル名: 「履歴書_氏名」「職務経歴書_氏名」のように、採用担当者が管理しやすい名前にしましょう。
- 郵送の場合:
- 書類はクリアファイルに挟み、汚れや折れを防ぎます。
- 送付状(添え状)を同封するのがマナーです。
- 封筒はA4サイズが折らずに入る「角形2号」を選び、宛名は丁寧に手書きします。
第6章:【応用編】こんな時どうする?ケース別書き方ガイド
- 転職回数が多い:職務経歴が冗長にならないよう、職務要約で一貫したキャリアの軸や成長意欲を示しましょう。ネガティブな転職理由ではなく、「スキルアップのため」「新たな領域に挑戦するため」といった前向きな表現を心がけます。
- 職務経歴にブランク(空白期間)がある:正直に記載し、その期間に何をしていたか(留学、資格取得、育児、介護など)を説明しましょう。その経験を通じて得た学びやスキルがあれば、積極的にアピールします。
- 未経験の職種に応募する:ポテンシャル採用となるため、「なぜこの仕事に挑戦したいのか」という熱意と意欲が重要です。これまでの経験から、応募職種に活かせる「ポータブルスキル(例:コミュニケーション能力、課題解決能力、PCスキルなど)」を抽出し、自己PRでアピールしましょう。
まとめ|最高の書類で、未来の扉を開こう!
履歴書・職務経歴書の作成は、自分自身と向き合う絶好の機会です。この記事で紹介したポイントを押さえて丁寧に準備すれば、あなたの魅力は必ず採用担当者に伝わります。
自信の持てる書類を武器に、あなたの新しいキャリアを切り開いていきましょう。応援しています!
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